長い間の懸案事項でもあったヤフーとマイクロソフトの提携がうまく合意して数年のうちに実現されます。
気になるのは今後の展開です。
まずは提携合意の審査があります。
アメリカ政府の独占禁止法の視点からの審査があるのです。
またアメリカだけではなく、ビジネスを行っている国全ての審査が必要となります。
マイクロソフトもヤフーも世界各地でビジネスを展開していますからこれだけでもかなりの数です。
提携合意とこれらの審査プロセスも含めて両社は2年ほどかかると猶予をみています。
もちろん日本もその1つです。
日本国内において特にヤフージャパンはシェア1位のサイトなので、どのようになっていくのかとても興味深いです。
その他にもヤフージャパンと広告パートナー関係の他サイトにも影響があると思います。
今までの利便性が失われないよう、検索結果が正しく表示されより活用しやすくなるようになってほしいと思います。
そしていよいよ提携が締結されたあとはグーグルとの対決が待っています。
マイクロソフトがBingを開始したことで検索市場においてその地位を少しずつ向上させています。
しかしながらグーグルと対決できるレベルには至っていません。
今回のヤフーとの提携でマイクロソフトはやっとスタートラインに立つことができました。
今後スケールメリットを活かしてどれだけ近づけるのか、また市場全体がどのように進化していくのか今後もこの3社から目がはなせません。
今回のマイクロソフトとヤフーの提携で両者はグーグルに対抗できるように「WIN-WIN」の関係を目指しています。
今回の提携でマイクロソフトはヤフーに前払いするお金が一切ありません。
ヤフーの手元には契約10年のうち前半5年は自社サイトの広告収入の88%しか入ってきません。
しかしヤフーは今回のマイクロソフトとの提携による利益として1年間で営業利益が5億ドル増えて、設備投資費が2億7,500万ドル減らせると見込んでいます。
それらの浮いたお金でヤフーはWebのポータルサイトやエンターテイメントの事業強化をするそうです。
マイクロソフトとヤフーの間で検索や広告以外の分野、Webサイトや製品、メール、IMなどの他分野に及ぶことはないとしています。
これらの事業分野ではマイクロソフトとヤフーは従来通り競争相手となるわけです。
マイクロソフトは検索分野において世界で2番目の地位を得ることができ、ヤフーの検索技術を独占することもできるわけです。
マイクロソフトとヤフー両社の検索サイトを全面担当するのです。
この10年の間に自社サイトの「Bing」をヤフー技術で強化できます。
具体的な提携の締結時期としてマイクロソフトは2010年の早い時期には契約手続きを完了したいと話しています。
それからさらに両社の検索技術を統合するには数年かかってしまいます。
なにせこれらのWeb統合は本当に大変な作業で膨大な時間がかかるのです。
インターネットのオンライン検索市場で最大手のグーグルは、ヤフーとマイクロソフトの提携が実現したあとも変わらずに首位の座をキープすると思われます。
しかしながらマイクロソフト、ヤフー、グーグルの3社の中で一番の貧乏くじを引いてしまったのはグーグルだと思います。
今回の提携によりグーグルの独占的支配体制が終わるかどうかは不明です。
グーグルがマイクロソフトとヤフーの提携後にだしたコメントでは「残念です。」というものでした。
「競争相手は多いほうが早く走れる。」とも話しました。
しかしながらグーグルはマイクロソフトがヤフーの牙を抜くことになるとも話しています。
その結果、業界の革新を妨げることになったのではないかとも危惧しています。
マイクロソフトにしても新しくBingを開発したときのような切迫感などがなくなってしまうのではないかとも考えています。
今回のマイクロソフトとヤフーの提携は、ヤフー全体を買収することと比較するととても小さいものです。
マイクロソフトとヤフー2社の検索エンジンを合わせてもユーザーシェアはグーグルの半分にもならないのです。
今回マイクロソフトとヤフーはWebサイト、メール・クライアント、IMサービスは統合しません。
買収が実現していればこれらは全て統合されていたはずです。
アメリカでのヤフーシェアは20%でマイクロソフトと合わせて28%。
シェア第二位になるだけであまり面白みがないと評価する人もいます。
グーグルはユーザーの選択肢が狭くなることを懸念しながらも、変化の激しい時代この市場では統合も避けられないと話しています。
そもそもマイクロソフトがBingを開発した理由、背景をみてみましょう。
この情報化の社会の中でオンラインコンテンツの成長は爆発的で止まるところを知りません。
ユーザーはいまや過剰なほどの情報源の中から必要な情報を探し出さなければならない状況です。
そのためこの過剰な情報の中からどれだけ早く簡単に必要な情報にたどり着けるかが鍵となるのです。
そこを重視して開発されたのがこの「Bing」なのです。
従来の検索サービスではユーザーが検索するまではなんとかフォローしています。
しかしながらその見つけ出した情報をユーザーが活用できるようにはなっていません。
そこに目をつけたマイクロソフトはユーザーがWebを活用する方法について理解するところから始めました。
マイクロソフトは長期的な取り組みとして「サーチイノベーション」を行っています。
このBingはその第一歩なのです。
Bingは3つの点を目標に掲げて開発しました。
まずは一番大事なこと、きちんとした検索結果を表示すること。
二番目としてエクスペリエンスは整理されたものをだすこと。
三番目としてタスクを簡素化して迅速に意思決定できる手助けをすることです。
以上を踏まえて新しくなった「Bing」では検索機能や技術改善を行いました。
一つ目は人名や地名の特定なものに関しては自動的に抽出できるという機能。
二つ目は検索されたワードをきちんと認識できるという機能。
三つ目はコンテンツを要約する技術。
四つ目は検索タイプ別に分類した関連性などを重視した意思決定支援ツールを作りました。
このようにしてマイクロソフトはヤフーと提携を考える前から検索分野に注力してきたのです。
提携が締結した後ヤフーの技術が加わることで今後「Bing」が新たにどのように進化していくのか楽しみです。
アメリカの司法省はマイクロソフトとヤフーの提携について独占禁止法上の調査を行うことにしました。
マイクロソフトとヤフーが正式に提携を締結するには司法省の許可が必要となります。
以前グーグルがヤフーと広告提携で合意までいったのに、提携を解消したのはこの独占禁止法に違法している可能性を考えてのことでした。
提携後マイクロソフトとヤフーはマイクロソフト側の検索サイト「Bing」を利用することになります。
そしてヤフーはプレミアム検索の広告サービスを2社分行うことになります。
アメリカの検索市場で70%以上のシェアを誇るグーグルに対抗するために今回の提携を結んだ両社です。
両社は提携までに1年半かけてようやく提携の合意にこぎつけたのです。
しかしこれは司法省の規制に触れることはないのか。
またマイクロソフトはこの提携でヤフーの検索技術を独占的に使うことができる権利を取得します。
そしてその技術を自社サイトのBingに統合します。
これら全てに違法性はないのか。
司法省の判断に委ねられることになります。
提携を締結するにはアメリカと欧州の司法省両方の承認が必要です。
欧州連合側が正式に調査をする予定はありません。
マイクロソフトは司法省の調査は最初から予想していたことだと冷静にみていたそうです。
司法省はマイクロソフトにヤフーとの提携について追加情報を提出するように要請も行っていたそうです。
どのような判断をくだすのでしょうか。
ヤフーがアメリカの証券取引委員会に対して報告書を提出したため、マイクロソフト提携に関する詳細がわかりました。
マイクロソフトはヤフーに毎年5,000万ドルを3年間支払います。
そしてヤフーの社員400名以上をマイクロソフトが雇用します。
ヤフーはこの5,000万ドルから提携に関してかかるコストをまかないます。
マイクロソフト側の検索エンジンである「Bing」がヤフーの検索エンジンに提供されました。
ヤフーはマイクロソフトと2社分のプレミアム検索広告の販売を行います。
これによりヤフーの検索収入の分配率は83%になってしまいます。
提携期間は10年で5年目以降は、ヤフーの独占している広告販売サービスの契約をマイクロソフトが解消できるそうです。
そうなるとヤフーが所有しているサイトの検索収入のうち93%がマイクロソフトのものになります。
最初の5年間は88%です。
しかしこの広告販売の独占契約を解消しなかったときはヤフーの検索収入は90%にUPします。
ヤフーが提携を破棄できる条件としては、ヤフーとマイクロソフトがアメリカ国内で稼いだ検索の1回あたりの収入の月平均がグーグルのRPS一定値に達しなければ提携終了できるというものです。
他にもマイクロソフトが検索市場撤退をすればヤフーは提携解消できます。
マイクロソフトが検索市場売却を決めれば第一の先買権はヤフーになります。
両者のパートナーシップがきちんと稼動を始めるのに約2年かかると予定しています。
マイクロソフトとヤフーの提携によりIBM社にも大きな影響がでることになりそうです。
IBMはヤフーと共同開発してエンタープライズの検索エンジンである「IBM OmniFind Yahoo! Edition」を創り上げました。
そしてIBMはこれを2006年から無償で提供を行っています。
この検索エンジンの中にはヤフーのユーザー・インターフェース、さらにヤフーの検索エンジンが採用されています。
これに対しマイクロソフトもエンタープライズの検索エンジンを無償で提供しています。
「Microsoft Search Server 2008 Express」といいIBMのものとは競合関係にあります。
ですからヤフーがマイクロソフトとの提携により検索エンジンを「Bing」にすると、自社製品で競合するような状態になってしまいます。
IBMにしてみても自社製品に競合先の技術を取り入れたという形になってしまうので困惑しています。
両者共に無償で検索エンジンを提供していますが、これらはとても重要な役割を担っています。
将来的に有料モデルにアップグレードしてもらう顧客を取り込むための重要なツールだからです。
現在はっきりしていることは、ヤフーはIBMに対して検索エンジンの提供を今後やめるそうです。
今後IBMがどのような形をとっていくかはまだ明確ではありません。
しかし今後もユーザーにとって使い勝手がいいヤフーとのWebと連携した検索エンジンを無償で提供していくことは続けて行くそうです。
いよいよ2009年7月29日にヤフーとマイクロソフトの提携が発表されました。
ヤフーとマイクロソフトの提携について実際に実行されるのは1年以上先になります。
具体的には10年間の提携期間でマイクロソフトの検索エンジンである「Bing」と「adCenter」プラットフォームにおいてヤフーの広告を強化します。
提携を発表してからマイクロソフトの株価は上がりましたが、ヤフーの株価は下がってしまいました。
提携発表前と比較すると16%も減少しました。
事前に投資家たちはこの提携によってマイクロソフトはヤフーに対してかなりの現金を支払うことになると考えていました。
しかし実際には株価の急落によりそうはならなかったことで、投資家たちが否定的な反応をしました。
経済状況により周囲を混乱させてしまったことをマイクロソフトのバルマー氏は「まだ何も起こっていない。」と驚きを隠せませんでした。
この提携によって具体的にはヤフーには5億ドルの運用収入があり、設備投資に対して2億ドル節約できることになります。
一方マイクロソフトにはすぐに利益が現れません。
しかし両者の検索エンジンや広告のプラットフォーム統合によりいずれ収益が増えると確信しています。
マイクロソフトの検索事業における失敗は投資が遅れたことによるものと推測できます。
それにプラスして今回のヤフーとの提携が遅れてしまったことも反省要因としてあげられます。
今後このマイナスをいかにしてプラス方面につなげていくのか楽しみです。
過去の交渉決裂から一転して2009年7月再びマイクロソフトとヤフーの検索分野での提携の話が浮上してきました。
マイクロソフトが検索分野を買収するという話もこの時点では残っていました。
これに対して検索市場において市場1位のグーグルは、「市場競争にとってもユーザーにとってもこのマイクロソフトとヤフーの提携はマイナスである。」と話しました。
ヤフーがマイクロソフトの検索エンジンである「Bing」を使用すれば、検索市場の主要なプレーヤーが3社から2社になってしまうので市場競争においてもあまりいいことではないのです。
競争相手は多い方がいい刺激をしあってより高めあい、早く進歩することができるのです。
グーグルにとっては2社の提携により競合があらわれ、オンライン市場においては競争が激化すると予想されます。
しかし検索市場においては、主要プレーヤーが1社減ってしまうことに対する影響は大きいです。
市場勢力の様子が変わって関係各社の競争心がなくなってしまう可能性が大きいからです。
今まではヤフー、マイクロソフト共にグーグルに追いつこうと必死になって検索エンジンの開発を行ってきました。
そのためそれぞれが独創的で革新的なエンジン開発を行うことができました。
競争があるからこそ検索市場が活性化してきたのです。
しかし今回両者が提携することになると、マイクロソフトの積極性がなくなる可能性が高く、関係者は危惧しているのです。
2009年4月ついにマイクロソフトとヤフーの事業提携に関する話し合いが再開しました。
今回の争点は以前のように買収交渉ではなく、検索事業や広告分野に関しての提携ということでした。
新しくCEOが就任して新生ヤフーとなってから、わずか数ヵ月後の出来ことでした。
この時期マイクロソフトCEOのスティーブ・バルマー氏はヤフーとの提携を重視する考えをよく発言していました。
2008年11月に買収の話が消滅してからの方向転換です。
2009年3月マイクロソフトのスティーブ・バルマー氏はヤフーのキャロル・バーツ氏と会談しました。
その後提携の可能性が十分あることを話しています。
マイクロソフトにとってはヤフーの事業規模が大変魅力だったのです。
マイクロソフトのバルマー氏は、この時点では買収か検索分野の提携か何が起こるかはわからないと話していました。
しかしながらヤフーとマイクロソフトの2社が手を携えてグーグルに対抗できる術を編み出す必要があるとも考えていました。
グーグルの中のサイト「プラットフォーム」のクライアント数はマイクロソフトの3倍以上です。
グーグルには幅広いクライアントがいてさらに良質な広告のリスティングデータベースを持っていることも理由の一つです。
マイクロソフトはヤフーの買収を断念した2008年に元ヤフー社員であった著名な博士や実力のある技術者を10名採用しています。
この中にはヤフーの検索部門、広告技術部門において元副社長で検索分野における著名な専門家のチー・リュー博士が含まれていました。
マイクロソフトが今後ヤフーと技術提携を行っていく上の下地にもなっていると考えられます。